正月休みの間に読みたい本が数冊あり、そのうちの一冊が古い戯曲でした。
古いといっても、実際に上演されたのが1980年代。
とても人気のある劇団の作品で、繰り返し上演された後、なんとイギリス公演も行われた作品です。
高校生の頃に初めて戯曲を読み、面白いなあと思って、大学生の頃、数回目の上演を観に劇場に足を運び、そして戯曲を購入しました。
野田秀樹さんのNODA・MAPの前身「夢の遊眠社」が活躍していたころと同じ時代に快進撃を続けていた鴻上尚史さん率いる劇団「第三舞台」の作品で「天使は瞳を閉じて」
第三舞台は筧利夫さんらが所属していた劇団です。
初演は1988年(当然ながら当時私はまだ小学生だったので見ていません) その後19991年にロンドン、エジンバラ、ベルファストで上演されています。
この時、日本の劇団員がそのまま日本語で演じ、舞台の両袖に電光掲示板を設置して、英語字幕を掲示板で流しながら上演したようです。
その時の、日本語の戯曲と英語の戯曲の両方が掲載されたのが、こちら。
天使は瞳を閉じて インターナショナル・ヴァージョン(Amazon)
前からめくると日本語での脚本で
後ろからめくると英語の脚本
去年の後半に行った盛大な断捨離の中で、数年読んでいないしもう捨てようかな、と思ったのですが、
「待てよ、これは英語の勉強になるのでは?」
と思い(もともと好きな劇団の好きな演目だし)手元に残した一冊でした。
まずは日本語を読み
これが懐かしい、けっこう覚えていました。
あれ、これって英語でなんて言うんだろ?
と疑問に思ったところを、反対側から読んで確認していく、という
まるで洋画を日本語字幕で見て、それから英語字幕で確認する、というような作業!
これが楽しい!
たとえば、脚本に出てくるお店の名前がバー「おいでませ」なのですが
これをどうやって英語にしたんだ?
と思ったら、
「Come on in」
なるほど…といった具合。
自分が好きで思い入れのある作品なだけに、英語バージョンで読む事が興味深く、抵抗が無い!
しかも昔から繰り返し、いろいろなアマチュア劇団が上演したのを見たり、自分でも声に出して読んでいたり、読み直したりしていたので、なんとなくセリフの流れを覚えているから、英語で読んでもやっぱりなんとなく解る。
………面白い。
それにしても、初めて読んだ高校生の頃とは、味わいが全然違いました。
これ、すごく深い恋愛の物語だったんだ。
いろんなかたちの恋愛に対するスタンスや考え方や、「こういう現場に居合わせちゃったら、ついこういう事をしちゃうよね」という…昔は解らなかったいろんな色合いやニュアンスやにおいがいたるところに散りばめられていて
もう、「わかる、わかる!! あー……切ない……」
の連続。
30代になってようやく解ったこの作品の面白味。
そういえば、智恵子抄(Wiki)も初めて読んだ二十歳のころは全く面白さも、名作だと言われる意味も解らなくて?だったけれど、30歳になった時に読み返したら号泣でした。
良い作品は、大人になってから読み返すと全然違いますね…
ちなみに正月休みの間に、やっぱり高校生以来で読み返したグレート・ギャツビー(村上春樹翻訳バージョン)も絶妙過ぎました。
それにしても、天使は瞳を閉じて、もう一回上演しているのを見たい!!
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